文字のない絵本「アライバル」を読んだ感想。これは傑作だ!

本から学ぶ

こんにちは!ノリです。

ある日本屋さんで見かけてから、いつか読みたいと思っていた『アライバル』。

この絵本の最大の特徴は文字がないことです!

本のことについては後で説明しますが、私はこの本を今まで買えずにいました。

なぜかというと、単純に高かったからです。1冊で2500円+税というちょっと学生には手を出しづらい価格でした。

そのため、気にはなっていましたが、読むことはできませんでした。

それが、先日ふと大学の図書館に行ったらあるじゃないですかアライバルが!

私は迷わず借りて、読みました。

するとその面白さは期待していた以上のものでした。今回はそんなアライバルを読んだ感想をお話したいと思います。

 

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アライバルとは

アライバルとはオーストラリアのショーン・タンという人が書いた絵本です。

日本語版では「究極の文字なし絵本」と表現されていますが、どちらかというと漫画に近くて、裏表紙にあるグラフィックノベルという言葉がしっくりきます。

グラフィックノベルとは、「大人向けアメリカンコミック」のことです。そう表現する理由は後でわかります。

 

ところで、このショーン・タンはイラストレーターであり、絵本もつくるし映像もつくるしで凄い人です。一人で色々できることにあこがれます。

掛け合わせてやれば仕事に困らないということですからね、反対にどれも中途半端になる恐れもありますが。とにかくすごい人です。

ここまでアライバルとその作者について簡単に説明してきました。

次はそのあらすじをざっくりまとめたいと思います。

ネタバレはしないのでご安心を。

 

あらすじ

故郷を離れて異国の地に向かう男性の話です。

この男性には家族がいて、妻と娘を残し、自分は単身赴任という形で言語も違う、文化も違う異郷を訪れます。

その中で様々な人と出会い、文化に触れ、新しい人生を切り開いていくというのが簡単なあらすじです。

男性が到着した異国の地にはもちろん現地語がありますが、私たちの世界にはない架空のものなので、世界中誰が読んでも異国の地になります。

変な生き物もいますし、建物の形も独特です。

果たしてこの男性はそんな何も知らない状態で生きていけるのかというのがひとつのテーマになります。

それでは、ネタバレをできる限り避けつつ、感想を述べたいと思います。

 

アライバルが生んだ感動

セピアカラーの雰囲気のよさ

絵本の中は全てセピア調かモノクロになっていて、どこか懐かし印象を受けました。

カラフルでないので、自分の想像で色を補うことができるのでこれはアリだなと思いました。

思えば漫画も色がついていないことが多いですよね。印刷の都合もあるかもしれませんが、私は想像の余地という点で魅力を感じました。

もちろん、暗褐色の感じも本の雰囲気と合っていていい感じです。

 

絵のリアルさ

「これ本当に書いたの?」とびっくりするくらい絵が上手です。

人物はひとりとして同じ顔はいませんし、表情も豊かです。

絵がリアルということはそれだけその世界に入りやすいということです。

漫画のようにコマ割りになっていて、コマとコマの間が想像でつながるくらいに説得力のある描写が多いです。

映画とちがって自分の好きなページを長く見たり、理解できないところがあれば前に戻れるのが本の特徴を上手に使いこなせていると感じました。

 

移民の心情

遠い国からやってきて、何もわからない状態で生活するというのは想像を絶する辛さだと思います。

男性のとまどいや不安が伝わってきました。

ほかにも、男性が訪れた地には外国から来た人がいます。それぞれ違う過去を持っていますが、ひとりはみな寂しいんだということを思い知らされます。

そんな中、不安を紛らわせてくれるのがへんてこな生き物たちです。

よくよく考えてみれば人間以外の生き物に言葉も文化も通じないので、あまり隔たりなく接することができます。

アイキャッチ画像にもいますね。

元から通じ合えないとわかっていた方がかえって通じるということもあるかもしれませんね。そう考えると奥が深いです。

 

全体を通して

ストーリーは綺麗にまとまっていますし、絵もわかりやすく、何より異国がとても印象的に表現されています。

心が動くという意味で大いに感動しました。

文字なし、音もなしで伝えることの難しさ。それを4年の歳月をかけて見事やってのけた作者の凄さに改めて尊敬を念を抱かずにはいられません。

一応大人の方が意味をより深く取れるので楽しめるとは思いますが、子どもでも十分に読めると思います。

ただ、やはり絵本の年齢というよりは小学校高学年くらいにならないと話の前後を理解することは難しいかもしれません。なんといっても文字がないので。

 

まとめ

こんなすばらしい本に出合えてよかったと思いました。まさに傑作です。

これなら買おうかなとも思います。ただ、読まないとこのよさはわかりません。

ぜひ自分の手で読んで、自分が見知らぬ場所に行ったつもりで楽しんでください!

 

 

 

日々の生活によりよいを

ノリ

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